カラーコンタクトレンズの危険性
夏休み前に配布された高校生の娘の保健だよりに「カラーコンタクトレンズの危険性を考えよう」というコラムがありましたので、以下、引用させていただきます。
***先日、眼科検診が行われましたが、カラーコンタクトレンズ(以下、カラコン)を着用していた人が何人もいたようです。カラコンは医薬品医療機器法で定められた「高度管理医療機器」であり、承認を受けていないものは眼球を痛める可能性があります。特に、インターネットや量販店で販売されているものは承認を受けていないものが多く、着色方法や酸素透過率に問題があるものがあります。また、承認を受けたものであっても、正しく使わないと目の病気をおこし、治療しても後遺症が残る可能性があります。見た目の印象を変えることよりも、将来にわたって大切な「目の健康」を守ることを考えてください。なお、視力矯正用のコンタクトレンズの扱いが雑な人もいるようです。医療機関で処方されているものであっても、使い方を間違えれば目の健康を脅かします。きちんと管理するようにしましょう。自分の目は一生もの。大切に守っていきましょう。***
以上、私自身の日々の診療での想いをわかりやすく代弁してくれておりました。
近年、ファッションの一部として欠かせない存在となったカラコンですが、その普及に伴い、不適切な使用による深刻な目のトラブルも増加傾向にあります。おしゃれを楽しむ一方で、カラコンの危険性を正しく理解し、大切な目を守るための知識を身につけることが重要です。痛みや違和感が生じた場合には、予約不要でいつでも受診できる当院へお気軽にご相談ください。
カラコンの危険性の原因
カラコンによるトラブルが発生する背景には、いくつかの明確な要因があります。まず、多くの製品がインターネットや雑貨店で手軽に購入できるため、眼科医の診察や処方を受けずに使用を開始してしまうケースが後を絶ちません。目のかたちや状態は一人ひとり異なるため、自分に合っていないレンズを使い続けることは、眼球を傷つける大きな要因となります。
レンズ自体の構造にも課題がある場合があります。カラコンは、透明なレンズの間に着色剤を挟み込んだり、表面にプリントしたりする構造になっています。これにより、通常のクリアレンズに比べて厚みが増し、酸素を通す能力が低下する傾向があります。角膜(黒目の部分)は血管がないため、空気中から直接酸素を取り込んでいますが、酸素不足に陥ると角膜の細胞がダメージを受け、病気の発症につながります。
また、誤ったケア方法や装用時間のルール無視も大きな原因です。以下の点に心当たりがある方は、重篤な眼疾患を招く恐れがあるため注意が必要です。
- 水道水でレンズを洗っている
- レンズをつけたまま眠ってしまう
- 1日使い捨てタイプを数日間使い回している
- レンズの共有(貸し借り)を行っている
こうした不適切な取り扱いは、細菌やカビ、アメーバなどの微生物が目に侵入する隙を与えてしまいます。特に品質が安定していない安価な海外製品などは、色素が露出して直接角膜を刺激することもあり、物理的な傷と化学的な刺激の両面からカラコンの危険性が高まります。
カラコンによって引き起こされる病気
不適切なレンズ使用や、管理の行き届かない状態で装用を続けると、単なる違和感だけでは済まない重い病気を引き起こすことがあります。当院でも、カラコン使用によるトラブルで来院される患者さんは少なくありません。早期に発見できれば点眼薬などで改善が期待できますが、放置すると視力低下や失明の危機に直結する場合もあります。
角膜潰瘍(かくまくかいよう)
酸素不足やレンズによる傷から、角膜の深い層まで炎症が及び、組織が欠損してしまう非常に危険な状態です。強い痛み、充血、目やに、視力の低下などの症状が現れます。細菌感染が加わると病状が急速に悪化し、角膜に穴が開いてしまうこともあります。治癒しても角膜に濁りが残り、生涯にわたる視力障害を抱えるリスクがある恐れがあります。
巨大乳頭結膜炎(きょだいにゅうとうけつまくえん)
レンズの汚れや、レンズの縁による物理的な刺激が原因で、上まぶたの裏側にブツブツとした隆起ができるアレルギー性の炎症です。目がゴロゴロする、レンズがずれやすい、目やにが増えるといった症状が特徴です。一度発症すると、長期間コンタクトレンズの装用を中止しなければならないこともあります。
結膜炎の症状や対策については「結膜炎のタイプ別の対応」のページを参照してください。
角膜浸潤(かくまくしんじゅん)
角膜の表面に傷がつき、そこに炎症細胞が集まっている状態です。原因の多くは酸素不足やレンズの汚れによる刺激です。これを放置して装用を続けると、前述の角膜潰瘍へと進行してしまいます。軽度の痛みや異物感であっても、早期治療を開始することが大切です。
角膜内皮細胞の減少
角膜の最も内側にある細胞は、角膜の透明度を保つ重要な役割を担っています。この細胞は酸素不足に非常に弱く、一度死滅すると再生することはありません。カラコンによる長期的な酸素不足が続くと、この細胞が徐々に減少し、将来的に白内障手術などの際に支障をきたしたり、角膜が濁ってしまったりするリスクがあります。自覚症状がないまま進行するため、定期的な検査が欠かせません。当院では角膜内皮細胞測定検査が可能です。
カラコンのトラブルに対する処置や治療法
もし目に異常を感じた場合、真っ先に行うべきことはレンズ装用を中止することです。当院では、患者さんの症状を的確に診断し、原因に合わせた治療を提供いたします。軽度の炎症であれば、数日間の装用中止と抗菌薬や抗炎症薬の点眼で快方に向かうことが期待できます。
感染症が疑われる場合には、原因となっている菌を特定するための検査を行うことがあります。緑膿菌、アメーバ、真菌(カビ)など重症感染症の場合は、通常の目薬では太刀打ちできないため、特殊な薬剤による長期の治療が必要となります。当院では「総合新川橋病院」との緊密な連携体制を整えており、入院加療やより高度な治療が必要と判断される重篤なケースには、速やかに専門施設をご紹介しております。
具体的な処置の流れは以下の通りです。
- 視力検査や細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)による眼表面(角膜・結膜など)の詳細な観察
- 炎症の程度に応じた点眼薬(抗菌薬、ステロイド、抗アレルギー薬など)の処方
- 装用中止期間の指示と、再開に向けた生活指導
- レンズのケア方法の再確認と、必要に応じたレンズ種類の変更提案
治療が終わった後も、大切なのは「再発させないこと」です。当院ではメガネの処方やコンタクトレンズのフィッティングもきめ細やかに対応しております。目に負担の少ない高酸素透過性のレンズをご提案したり、正しい着脱・装用方法などを丁寧にお伝えしたりすることで、皆さまが安全にコンタクトライフを楽しめるようサポートいたします。
レンズの乾きや異物感が気になる方は「ドライアイとマイボーム腺の関係」のページも併せてご覧ください。
カラコンについてのよくある質問
Q1. 痛みがないので、ネットで買ったカラコンを使い続けても大丈夫ですか?
A1. 痛みがないからといって安全とは限りません。角膜内皮細胞の減少のように、自覚症状がないまま深刻なダメージが進行する場合があります。また、海外製品の中には日本の安全基準(高度管理医療機器)を満たしていないものもあり、色素漏れなどのリスクも高まります。必ず眼科で検査を受け、承認された製品を使用するようにしてください。
Q2. カラコンをつけると目が赤くなりますが、目薬をさせば使い続けていいですか?
A2. 充血は目がSOSを出しているサインです。炎症が起きている状態でレンズを使い続けると、角膜潰瘍などの重症化を招く恐れがあります。市販の目薬で一時的に赤みを抑えるだけでは根本的な解決になりません。すぐにレンズを外し、眼科を受診してください。当院は予約制ではありませんので、いつでもお気軽にご来院いただけます。
Q3. 1日使い捨て(ワンデー)を、もったいないので2〜3日使ってもいいですか?
A3. 絶対におやめください。ワンデーレンズは1日限りの使用を前提に設計されており、一度外したレンズは洗浄して再利用できる耐久性がありません。無理に使い回すと、レンズの変形や汚れの蓄積により角膜を傷つけたり、深刻な感染症を引き起こしたりする原因となります。決められた使用期間を厳守することが、自分の目を守るための最低限のルールです。
Q4. レンズのケアが面倒なのですが、何か良い方法はありますか?
A4. ケアに自信がない方には、毎日新しいレンズを使用する「1日使い捨てタイプ」をお勧めしています。洗浄の手間がなく、常に清潔なレンズを使用できるため、感染症のリスクを大幅に下げることが期待できます。当院では患者さんのライフスタイルに合わせたレンズのご提案をしていますので、ぜひご相談ください。
さいごに
高校生の私の娘もときどきカラコンを使用しております。当院では、カラコンによるトラブルを抱えて来院される患者さんに対し、ただ治療を行うだけでなく、なぜその症状が起きてしまったのかを丁寧に説明し、二度と繰り返さないためのアドバイスを親身に行っております。地域の目のかかりつけ医として、どんな目の不安にも寄り添う姿勢を大切にしています。
カラコンは、適切に使用すれば皆さまの日常を明るく彩る素晴らしいツールといえます。しかし、一歩間違えればカラコンの危険性により、一生の視力を左右する結果を招きかねません。ハイリスクなものを目に入れているという認識が必要です。当院では、コンタクトレンズのきめ細かい対応はもちろん、なみだ目の評価など専門的な視点からも総合的に目の健康をチェックしています。「少しゴロゴロするだけだから」と遠慮なさらず、いつでも気軽にお越しください。なるべくお待たせしない対応を心がけ、スタッフ一同、笑顔でお迎えいたします。
当院の診療ポリシーや詳細については「当院の特徴」のページをご覧ください。
