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マイボーム腺機能不全

[2026.04.19]

新年度が始まり数週間、目がゴロゴロする、あるいは目がショボショボして仕方がないといったお悩みで、当院を受診される患者さんが増えています。こうした症状の背景に隠れていることが多いのが、マイボーム腺機能不全という病気です。マイボーム腺とは、まぶたの縁にある油を出す腺で、涙の表面に油の膜を張ることで涙が蒸発するのを防ぐ大切な役割を担っています。この腺が詰まったり、働きが悪くなったりすると、涙がすぐに乾いてしまう、ものもらいになりやすくなるなど、さまざまな目の不快感を引き起こします。実は、ドライアイと診断される方のうち、約8割にこのマイボーム腺のトラブルが関係しているといわれています。

当院では、なみだ目や乾きに関して、ご自身の目の状態を診察室のモニターで供覧し、眼鏡やコンタクトレンズの度数、眼精疲労などの要素も加味したうえで総合的に評価し、お一人おひとりの生活スタイルに合わせた丁寧な対応を心がけています。少しでも目に違和感があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

ドライアイの原因にもなるマイボーム腺機能不全の主な症状

マイボーム腺機能不全(MGD:Meibomian Gland Dysfunction)の症状は、単なる「目の乾き」だけではありません。患者さんによって現れ方はさまざまですが、当院でよく伺うお悩みには以下のようなものがあります。

  • 目が常にゴロゴロする、異物感がある
  • 目が重たい感じがして、夕方になると疲れがひどくなる
  • まぶたの縁が赤く腫れたり、かゆみを感じたりする
  • 光を眩しく感じやすく、目が開けにくい
  • 朝起きたときに、目やにがまぶたの縁にこびりついている

なみだ目の症状で来院された方が、実はマイボーム腺機能不全が主因だったというケースが多くあります。これは、油が足りないために涙がすぐに蒸発してしまい、それを補おうとして体が過剰に涙を出してしまう反射的な現象です。もちろん、涙道閉塞による流涙症の要素がないかどうかも通水検査などで確認いたします。

また、視界がかすむといった症状も、涙の層が不安定になることでピントが合いにくくなるために起こります。こうした症状は、エアコンの効いた室内でのデスクワークや、スマートフォンの長時間使用によって悪化しやすい傾向があります。瞬きの回数が減ると、マイボーム腺から油が排出されにくくなるためです。

マイボーム腺機能不全を引き起こす主な原因とリスク要因

マイボーム腺機能不全が起こる原因は一つではありません。いくつかの要因が重なり合って発症することが一般的です。私が診察の中で特に注目している引き金となる要因(リスク因子)をいくつか挙げます。

加齢による変化

最も一般的な原因は加齢です。年齢を重ねるにつれて、マイボーム腺の細胞自体の働きが徐々に低下し、分泌される油の質が変化したり、腺の数が減ったりすることがあります。

アイメイクの影響

最近、若い世代の方にも増えているのがアイメイクによる影響です。アイラインやマスカラがマイボーム腺の出口を塞いでしまったり、クレンジング不足で汚れが溜まったりすることで、炎症が引き起こされます。

コンタクトレンズの長期使用

コンタクトレンズを長時間、あるいは長期間使用していると、まぶたの裏側や縁に慢性的な刺激が加わり、マイボーム腺の構造に影響を及ぼすことが考えられます。当院ではコンタクトレンズのきめ細かい対応も行っております。

生活習慣と環境

脂っこい食事に偏った食生活や、慢性的な睡眠不足、ストレスなども油の質を悪化させる要因となります。また、パソコン作業に集中して瞬きが減ることも、油を押し出す力が弱まるため、大きな原因となります。

専門的な視点で分類されるマイボーム腺機能不全のタイプ

マイボーム腺機能不全は、大きく分けて2つのタイプに分類されます。どちらのタイプかによって、アプローチの仕方が少し変わってきます。

排出減少型(閉塞型) マイボーム腺の出口が角化したり、油が固まって詰まったりして、油が出てこなくなるタイプです。日本人に非常に多く、出口にタピオカサインと呼ばれる白いポツポツができることもあります。
排出過剰型 油が過剰に分泌されてしまうタイプです。分泌される油の質が悪いため、涙の膜を安定させることができず、かえって炎症を招くことがあります。

さらに、腺そのものが消失してしまう「消失型」という状態に進行することもあります。一度消失してしまった腺を元に戻すことは難しいため、早期に発見し、適切なケアを始めることが、それ以上機能を悪化させないために重要です。

症状を改善させるための段階的な治療ステップ

治療の基本は、詰まった油を溶かし、出口を清潔に保つことです。当院では、患者さんの状態に合わせて段階的な治療を提案しています。

  1. 温罨法(おんあんぽう)による油の融解
    まぶたを温めることで、腺の中で固まってしまった油を溶かして出しやすくします。市販の温熱アイマスクなどで、1日2回、5分から10分程度温めるのが効果的です。
  2. リッドハイジーン(眼瞼清拭)での洗浄
    専用のシャンプーや清浄綿を使って、まつ毛の根元をやさしく洗います。マイボーム腺を塞いでいる汚れや古い角質を取り除き、清潔な状態を保ちます。
  3. 点眼薬を用いた薬物療法
    人工涙液やヒアルロン酸製剤、あるいは涙の質を改善する点眼薬(ジクアスLX点眼など)を使用します。炎症が強い場合には、ステロイドや抗菌点眼薬を併用することもあります。
  4. 医院での専門的な処置やIPL治療
    セルフケアで改善が難しい場合、専用器具で溜まった油を押し出す処置を行います。また、特殊なレーザーをあてるIPL治療が有効な場合もあり、専門施設への連携も可能です。

マイボーム腺機能不全に関するよくある質問

Q1. 市販のドライアイ用目薬で治りますか? 一時的に乾燥を和らげることはできますが、根本的な原因であるマイボーム腺の詰まりが解消されない限り、症状が繰り返されることが多いです。
Q2. どのくらいの期間で良くなりますか? 症状の程度にもよりますが、温罨法や洗浄などのホームケアを始めてから効果を実感できるまで、数週間から1ヶ月程度かかることが一般的で、継続が大切です。
Q3. 予約なしで行っても診てもらえますか? はい、当院は予約制ではありません。目がゴロゴロする、重いといった不調を感じたときに、いつでもお気軽にお越しください。

地域の皆さまの健やかな毎日のために

マイボーム腺機能不全は、現代病とも言えるほど多くの方に見られる疾患です。しかし、適切なケアを知らずに「ただの疲れ目」として我慢されている方が少なくありません。当院では、地域の目のかかりつけ医として、そうした日々の小さなお悩みに親身に寄り添いたいと考えています。

当院の強みは、なみだ目やドライアイに関する専門的な評価を丁寧に行い、患者さんがご自宅で続けられる具体的なケア方法を分かりやすくお伝えすることです。大きな病院へ行くほどではないけれど、なんとなく目がスッキリしない……そんな時こそ、当院の出番です。

皆さんの「見える喜び」と「心地よい毎日」を守るお手伝いをさせてください。検査は痛みを伴うものではありませんし、予約不要でいつでも受診可能です。スタッフ一同、笑顔でお待ちしております。

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