年代別よくある目の病気
お子様からご高齢者様まで、年齢によって注意すべき目の病気は多岐にわたります。年代別によく見られる目の病気について、日本眼科医会のキャッチフレーズに基づき、私自身の経験を交えて解説いたします。ご自身やご家族の健康管理の参考にしてください。
乳幼児期:ご両親が守るお子様の目の健康
乳幼児期は、視機能が発達する非常に重要な時期です。この時期の異常を早期に発見することが、将来の視力を守る鍵となります。
先天性眼疾患
「先天性」と名のつく目の病気は数多く存在します。当院では病気が疑われる場合、速やかに大学病院や神奈川県立こども医療センター、国立成育医療研究センターなどの専門機関へご紹介いたします。
未熟児網膜症
藤沢市民病院に勤務していた3年間、上司とともにNICUの低出生体重児の眼底検査を担当しておりました。周産期医療の進歩により、低出生体重児の生存率が向上した一方で、重症の未熟児網膜症も増加しています。治療によって視覚障害を最小限に抑えられるケースもありますが、眼科医による長期的なフォローアップや、必要に応じたロービジョンケアが欠かせません。
先天鼻涙管閉塞症(目やに・涙目)
出生直後から目やにや涙目が見られる場合、この疾患が疑われます。1歳までに自然軽快することも多いですが、ご両親の不安は大きいものです。当院ではガイドラインに基づき、以下のステップで治療・管理を検討します。
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生後6ヶ月までの経過観察
自然軽快の可能性が高いため、マッサージなどで経過を見守ります。 -
生後9ヶ月頃のブジー処置
1歳を超えると全身麻酔が必要になる場合があるため、この時期に鼻涙管の閉塞を開放する処置を検討します。 -
専門施設への紹介
初回の処置で改善しない場合や、涙道内視鏡による精密な治療が必要な場合は、専門施設へ依頼します。
弱視と早期発見の重要性
視覚の発達は6歳から8歳頃までに完成します。弱視はこの時期に発達が停止した状態で、50人に1人の割合で見られます。乳幼児健診での早期発見と適切な治療が非常に重要です。
近視の低年齢化
近年、近視の発症が低年齢化しており、将来的に高度近視へ至るリスクが高まっています。高度近視は網膜剥離や緑内障などの原因となるため、低年齢のうちから近視進行抑制に取り組むことが推奨されます。
若年期(10代):学習やスポーツで視力が気になり始めたら
学校生活やデジタルデバイスの利用が増え、目への負担が大きくなる時期です。
| コンタクトレンズ眼障害 | 中学生頃から装用を始める方が増えますが、不適切な使用は重篤な眼障害を招きます。異常がなくても定期的な検診を受けることが不可欠です。 |
|---|---|
| デジタルデバイス合併症 | スマホやタブレットの使用による「スマホ内斜視」などが懸念されています。30分に一度は休憩、30cm以上の視距離の確保、など目を休める習慣をつけましょう。 |
| 近視の進行抑制 | 小学4、5年生頃は進行が著しい時期です。環境因子の改善に加え、最新の近視進行抑制治療についてもご相談を承ります。 |
青年期(20代〜30代):目の若さを過信しないケアを
社会活動が最も活発な時期であり、仕事でのIT機器使用による負担が増大します。
屈折異常とコンタクトレンズ
眼科を受診せずインターネットで購入し続けると、過矯正や乱視の未矯正による眼精疲労を招きます。当院では一人ひとりの生活に合わせた最適なレンズ処方を提案します。
屈折矯正手術(LASIK・ICL)
レーシックやICLを検討される方には、メリットとデメリットを十分に説明いたします。手術を希望される場合は、信頼できる眼科専門医をご紹介することが可能です。
ドライアイ・眼精疲労
VDT作業(パソコン等の使用)が多い現代において、ドライアイは避けて通れない問題です。ライフスタイルに応じた目薬や環境調整の提案をさせていただきます。
アレルギー性結膜炎
市販薬で済ませがちですが、重症化すると視力に影響する場合もあります。症状に合わせて免疫抑制点眼液やステロイド点眼を適切に使い分ける治療を行います。
壮年期(40代〜60代):早期発見で豊かな人生を守る
加齢に伴い、自覚症状のないまま進行する病気が増えてくる年代です。
| 緑内障 | 40歳以上の20人に1人が罹患していると言われます。早期発見できれば日常生活に支障ない視力を維持し続けることが可能です。 |
|---|---|
| 後部硝子体剥離 | 加齢により眼内の硝子体が網膜から剥がれる現象で、飛蚊症の主な原因となります。多くは生理的なものですが、精査が必要です。 |
| 網膜剥離 | 網膜に穴が開く(網膜裂孔)ことで視力が失われる重篤な病気です。急な飛蚊症の増加を感じたら、速やかに眼科を受診してください。 |
| 糖尿病網膜症 | 糖尿病の3大合併症の一つです。初期は無症状ですが、進行すると失明の恐れがあります。内科と連携した定期的な眼底検査が欠かせません。 |
老年期(70代以降):生涯、良い視機能を保つために
快適なシニアライフを送るために、視覚の質を維持することがQOL(生活の質)の向上に直結します。
白内障と眼内レンズ
多くの方が経験する病気です。見えづらさによって日常生活に支障が出始めたら、手術を検討する時期です。当院では、単焦点レンズから多焦点レンズまで、患者様のご希望に沿った最適な治療方針をアドバイスいたします。
加齢黄斑変性
視界の中心が歪んだり、暗くなったりする病気です。片目ずつでのセルフチェックが早期発見に役立ちます。治療が必要な場合は、速やかに専門施設へご紹介いたします。
網膜静脈閉塞症
網膜の血管が詰まり、出血やむくみ(黄斑浮腫)を引き起こします。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある方は特に注意が必要です。症状に応じて、硝子体注射などの治療を検討します。
おわりに
各年代において、注意すべき目の病気は異なります。ご自身やご家族の年齢に合わせて、目の健康に関心を持っていただければ幸いです。どんな目の不安にも親身な対応、が当院のモットーですので、どうぞお気軽にご相談ください。
